惹かれるままに

ホームにいて  電車が来るまで5分ある 

反対側のホームには 私の好きな飲み物が売っていて

惹かれるまま 反対側のホームに移動する

すると移動したホームの電車が来て

ベビーカーを押しているお母さんが 前輪をホームと電車の間に落としてしまってパニックになった

すっと 目の前に行って 「だいじょうぶ  だいじょうぶ」って声をかけながら 

その前輪は外れて その赤ちゃんとお母さんは 電車に乗って行った



まるで いくべき時に行く場所に ピタッとはまった感覚だった

そのあと わたしは元いたホームに戻り

何もなかったように電車に乗る


あのピタッとした感覚     はっきり流れの中にいた

 これからとても自然にそういうことが  起こっていくんだなって 

いるべきところに いるようになるんだな


山口ようこ